リードスコアリングで成果が出ない原因と本記事の目的
リードスコアリングの設計で成功するには、属性・行動データだけでなく、実際の受注実績から逆算してスコア基準を設計・検証する仕組みを整えることが重要です。
MAツールを導入してスコアリングを設定しているものの、「スコアが高いリードが商談に至らない」「営業から『使えない』と言われる」という課題を抱えている担当者は少なくありません。日本のMA市場は2024年に377.1百万米ドル規模に達し、2025-2035年にかけてCAGR 8.11%で成長すると予測されています(Spherical Insights調査)。MAツールの普及が進む一方で、スコアリングを活用して実際に成果を出せている企業はまだ限られています。
なぜスコアリングを設定しても商談につながらないのか。本記事では、その原因を明らかにし、受注実績から逆算するスコアリング設計の考え方と具体的な手順を解説します。
この記事で分かること
- リードスコアリングの基本概念と属性・行動スコアの違い
- スコアリング設計の具体的な手順と配点の考え方
- スコアリングが形骸化する原因と受注起点の設計思想
- 営業との連携を強化するための運用ポイント
リードスコアリングの基本概念と構成要素
リードスコアリングとは、見込み顧客の属性や行動を点数化し、購買可能性の高いリードを優先的に特定・育成する評価手法です。
MAツールでリードを管理する際、すべてのリードに同じ優先度で対応することは現実的ではありません。リードスコアリングを活用することで、限られたリソースを購買意欲の高いリードに集中させることができます。
スコアリングは大きく「属性スコア」と「行動スコア」の2種類に分けられます。どちらか一方だけでなく、両方を組み合わせて評価することで、より精度の高いリード判定が可能になります。
属性スコアと行動スコアの違い
属性スコアは、企業規模・役職・業界などの静的な顧客情報をもとに、アプローチの優先度を点数化したものです。一方、行動スコアは、Webサイト訪問、メール開封、資料ダウンロードなどのオンライン・オフライン行動を基準に点数化したものを指します。
属性スコアはリードの「質」を評価し、行動スコアはリードの「温度感」を評価する役割を持ちます。ハイブリッド型スコアリングは、この2つを組み合わせてリードの「質」と「温度感」の両方を判断する設計手法であり、日本市場では役職スコアを強化するハイブリッド型が主流となっています。
属性スコアと行動スコアは合算せず分けて管理することが推奨されます。合算してしまうと、属性が低くても行動が多い低品質リードが優先されてしまうリスクがあるためです。
リードスコアリングの設計手順と評価基準の決め方
スコアリング設計では、属性スコアと行動スコアそれぞれの配点ルールを明確にすることが重要です。
まず営業と協議して「どのようなリードを商談化したいか」を明確にし、過去の受注データから受注顧客の共通点を分析します。その上で、以下のような配点例を参考にスコア基準を設定します。
配点例(参考)
| 評価項目 | スコア |
|---|---|
| 企業規模:大企業 | +20点 |
| 役職:部長以上 | +30点 |
| 業種:ターゲット業種 | +15点 |
| 資料ダウンロード | +10点 |
| 価格ページ閲覧 | +15点 |
| 導入事例ページ閲覧 | +10点 |
ある事例では、MAツールでホットリード抽出後、営業アプローチに切り替えることでアポ獲得率が6.3%から11.9%へ約2倍向上したケースが報告されています(個別企業事例のため、同様の結果が得られるとは限りません)。
MQL判定の閾値をどう設定するか
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動により一定のスコア基準を満たし、営業にパスできる状態になった見込み顧客を指します。MQL判定の閾値設定は、営業との合意形成が不可欠です。
(例)MQL判定の閾値設定
- 属性スコア:50点以上(ターゲット企業規模・役職を満たす)
- 行動スコア:25点以上(資料DL + 価格ページ閲覧など)
- 合計75点以上でMQL判定 ※実際の閾値は業種・商材・営業体制により異なります
閾値は固定せず、営業からのフィードバックを踏まえて定期的に調整することが重要です。
スコアリングが形骸化する原因と受注起点の設計思想
よくある失敗パターンとして、「属性や行動データに基づいてスコアを設定しただけで満足し、そのスコアが実際の商談・受注と相関しているか検証しない」という考え方があります。これは誤りです。 設計時のルールを固定したまま放置すると、スコアリングは形骸化してしまいます。
スコアリングを設定しても商談につながらない主な原因は、スコア基準が実際の受注パターンと相関していないことにあります。設定後に検証・調整していない、営業との連携ルールが不明確、といった問題も形骸化を招きます。
ある事例では、インサイドセールス1人でスコアが高い順にアプローチすることで、獲得新規契約数が2.5倍に向上したケースが報告されています(個別企業事例のため、参考値としてお考えください)。また、スコアリング活用によりCTR(クリック率)が7倍向上したという事例もあります(個別企業事例)。
これらの成功事例に共通するのは、スコアリングを設定しただけで終わらせず、受注実績との相関を検証し、継続的に改善している点です。
受注実績データからスコア基準を逆算する方法
受注実績から逆算したスコアリング設計では、以下のステップで検証と改善を行います。
- 受注顧客の分析: 過去に受注した顧客の属性(業種、規模、役職)と行動パターン(閲覧ページ、ダウンロード資料)を抽出する
- 共通パターンの特定: 受注顧客に共通する属性・行動を洗い出し、スコア基準の妥当性を確認する
- 失注リードの分析: 高スコアなのに受注しなかったリードの特徴を確認し、スコア基準の見直しに活かす
- 閾値の調整: 月次でスコア閾値を調整し、営業からのフィードバックを反映する
受注実績との相関を定期的に確認することで、スコアリングの精度を継続的に高めることができます。
スコアリング運用のポイントと営業連携
スコアリングの運用では、営業との連携ルールを明確にし、フィードバックを収集・反映する仕組みを整えることが重要です。
「スコアが高いリードが使えない」と営業から言われた場合は、スコア基準と受注実績の相関を再検証する必要があります。営業が実際に商談した結果(受注・失注・見送り)をスコアリング設計にフィードバックすることで、精度を向上させることができます。
【チェックリスト】リードスコアリング設計チェックリスト
- 営業と「どのようなリードを商談化したいか」を協議した
- 過去の受注データから受注顧客の共通点を分析した
- 属性スコアと行動スコアを分けて管理している
- 属性スコアにターゲット企業規模・役職・業種を含めている
- 行動スコアに資料DL・価格ページ閲覧など購買意欲を示す行動を含めている
- MQL判定の閾値を営業と合意している
- 営業へのリード引き渡し時に属性・行動履歴・スコア内訳を共有している
- 営業からのフィードバック(受注・失注・見送り)を収集する仕組みがある
- 月次でスコア閾値を調整するPDCAを回している
- 高スコアなのに受注しなかったリードの分析を行っている
- 受注したリードの属性・行動パターンを定期的に確認している
- スコアリングルールをドキュメント化して共有している
営業へのリード引き渡しルールの設定
営業にリードを引き渡す際は、以下の情報を共有することが推奨されます。
- 企業属性(規模、業種、役職)
- 行動履歴(閲覧ページ、ダウンロード資料、メール開封履歴)
- スコア内訳(属性スコア・行動スコアの内訳)
- 推奨アプローチのポイント
営業からは、商談結果(受注・失注・見送り)とその理由をフィードバックとして収集します。このフィードバックをもとに、スコア基準の妥当性を検証し、必要に応じて調整します。
まとめ:受注実績から逆算したスコアリング設計で成果を出す
本記事では、リードスコアリングの設計方法と、成果につながる運用のポイントを解説しました。
要点の整理
- リードスコアリングは属性スコアと行動スコアを分けて管理し、合算しない
- MQL判定の閾値は営業と合意し、定期的に調整する
- スコアリングを設定しただけで満足せず、受注実績との相関を検証する
- 営業からのフィードバックを収集し、スコア基準に反映するPDCAを回す
ある事例では、MAツールでホットリード抽出後に営業アプローチを行い、アポ獲得率が6.3%から11.9%へ約2倍向上したケースがあります。また、スコアが高い順にアプローチすることで、獲得新規契約数が2.5倍に向上した事例もあります(いずれも個別企業事例のため参考値)。
リードスコアリングで成果を出すには、属性・行動データだけでなく、実際の受注実績から逆算してスコア基準を設計・検証する仕組みを整えることが重要です。本記事のチェックリストを活用し、自社のスコアリング設計を見直してみてください。
