セールスコンテンツを作っても営業が使わない問題
セールスコンテンツ活用で成功するには、コンテンツを作成する前に戦略(ターゲット・USP)を固定し、営業フェーズごとに適切なコンテンツを使い分ける仕組みを構築することが重要です。
セールスコンテンツとは、商談で顧客へ提示・提供し、営業活動をサポートするコンテンツで、成約率向上を狙うものです。しかし、2025年の調査によると、コンテンツ活用企業のうち36%が「全く/あまり活用できていない」と回答しており、コンテンツ未活用率は31.2%に上ります。
一方で、同年の調査(BtoB営業317名対象)では、コンテンツ活用への期待効果として「営業の効率が向上する」が55.7%で最多となっています。期待は高いのに活用されない、このギャップはなぜ生まれるのでしょうか。
この記事で分かること
- セールスコンテンツの定義と種類、マーケティングコンテンツとの違い
- コンテンツを量産しても活用されない理由と失敗パターン
- 営業フェーズ別のコンテンツ活用戦略とマトリクス
- 戦略を全コンテンツに反映させ、継続的に活用する仕組みの作り方
セールスコンテンツとは何か|種類と役割
セールスコンテンツは、商談で顧客へ提示・提供し、成約率向上を狙うコンテンツです。マーケティングコンテンツが潜在層向けの認知獲得を目的とするのに対し、セールスコンテンツは顕在化した顧客・商談相手に特化した設計が必要です。
コンテンツセールスとは、属人的営業をコンテンツで置き換え、チーム全体の成果を標準化・安定化する営業手法を指します。個人の営業スキルに依存せず、コンテンツを活用することで組織全体の商談品質を底上げする考え方です。
2025年の調査によると、コンテンツ活用企業で提案資料テンプレートが41.3%と最も利用されている形式です。その他、導入事例、比較表、デモ動画なども効果的なコンテンツとして挙げられます。
キラーコンテンツとは、受注率向上に直結する効果的なコンテンツで、導入事例・比較表・デモ動画などが該当します。これらは検討段階の顧客に対して特に効果を発揮します。
なぜセールスコンテンツを量産しても活用されないのか
「セールスコンテンツを大量に作れば営業が活用して商談が増える」という考え方は誤りです。戦略を固定しないままコンテンツを作り続けると、コンテンツごとにメッセージがブレ、営業現場で使われないコンテンツが溜まっていきます。
先述の調査でも36%が「活用できていない」と回答しており、これはコンテンツの量ではなく質と戦略の問題を示しています。BtoB企業経営者を対象とした調査では、リード獲得の課題として「コンテンツの質が低い」が28.8%で上位に挙げられています。
よくある失敗パターンとして、以下のようなケースがあります。
- ターゲットを明確にせず、幅広い層に向けた曖昧なコンテンツを量産する
- コンテンツごとに主張が異なり、一貫したメッセージが伝わらない
- マーケティング部門とセールス部門の連携がなく、営業現場のニーズを反映していない
- 効果測定をしないまま、作りっぱなしで終わっている
【チェックリスト】セールスコンテンツ活用前の戦略確認チェックリスト
- ターゲット顧客のペルソナが明確に定義されているか
- 顧客の課題・悩み・検討プロセスを把握しているか
- 自社のUSP(独自の価値提案)が言語化されているか
- 全コンテンツで一貫したメッセージが設計されているか
- 営業フェーズごとのコンテンツが整理されているか
- 営業現場からのフィードバックを収集する仕組みがあるか
- コンテンツのトーン&マナーが統一されているか
- 各コンテンツの活用シーン(いつ・誰に・どう使うか)が明確か
- コンテンツの品質基準が定義されているか
- レビュー・承認フローが設計されているか
- 効果測定の指標(利用率・商談貢献度など)が設定されているか
- 定期的な見直し・更新のサイクルが決まっているか
営業フェーズ別のセールスコンテンツ活用戦略
営業フェーズに応じてコンテンツを使い分けることで、商談の質と成約率の向上が期待できます。2025年の調査(317名対象)では、期待効果として「商談の質が向上する」44.3%、「受注率が向上する」37.9%、「リードタイムが短縮する」31.0%が上位に挙げられています(ただし期待値ベースの回答であり、実測値ではない点に注意)。
また、コンテンツ活用効果として「見込み顧客の興味可視化」42.0%が上位となっており、顧客の反応を把握するためのツールとしても活用されています。
セールスイネーブルメントとは、営業組織の能力を向上させるため、コンテンツ・ツール・トレーニングを体系的に提供する取り組みです。セールスコンテンツはこの取り組みの中核を担います。
【比較表】営業フェーズ別セールスコンテンツ活用マトリクス
| 営業フェーズ | 顧客の状態 | 有効なコンテンツ | 活用目的 |
|---|---|---|---|
| 認知・興味 | 課題認識前〜課題認識中 | ホワイトペーパー、ブログ記事、ウェビナー | 課題の顕在化・自社認知の獲得 |
| 情報収集 | 解決策を探し始めた段階 | 業界レポート、ノウハウ資料、比較ガイド | 専門性の訴求・信頼構築 |
| 検討・比較 | 具体的な製品・サービスを比較中 | 導入事例、比較表、提案資料テンプレート | 自社優位性の明示・懸念払拭 |
| 商談・交渉 | 導入意思がある段階 | デモ動画、見積もり資料、ROI試算 | 意思決定の後押し・社内稟議支援 |
| 導入・定着 | 導入後の活用段階 | 操作マニュアル、活用事例、成功事例 | 解約防止・アップセル機会創出 |
認知・興味段階で効果的なコンテンツ
認知・興味段階では、顧客が抱える課題を顕在化させ、自社の存在を認知してもらうことが目的です。この段階では売り込み色を抑え、顧客にとって有益な情報提供を優先します。
有効なコンテンツとして、業界課題に関するホワイトペーパー、ノウハウ記事、ウェビナーなどがあります。顧客の課題に寄り添いながら、自社の専門性を示すことで、次のフェーズへの移行を促します。
検討・比較段階で効果的なコンテンツ
検討・比較段階では、顧客が具体的な製品・サービスを比較検討しています。この段階では、自社の優位性を明確に伝え、懸念を払拭するコンテンツが効果的です。
前述の調査で提案資料テンプレートが41.3%と最も利用されているのは、この段階での活用が多いためと考えられます。導入事例は、同業界・同規模の企業がどのような成果を得たかを示すことで、顧客の意思決定を後押しします。
比較表は、競合との違いを客観的に示すことで、顧客の情報収集を効率化し、自社への信頼を高めます。
セールスコンテンツを活用し続ける仕組みの作り方
戦略を全コンテンツに反映させ、継続的に活用するためには、仕組みとして制作・活用フローに組み込むことが重要です。
戦略の文書化: ターゲット・USP・活用シーンを明文化し、関係者全員が参照できるドキュメントとして整備します。これにより、担当者が変わっても一貫性を保てます。
営業現場からのフィードバック収集: 営業担当者がどのコンテンツをどの場面で使い、どのような反応があったかを定期的に収集します。使われないコンテンツは改善または廃止の判断材料とします。
効果測定と改善サイクル: コンテンツごとの利用率、商談への貢献度、成約率への影響を測定し、PDCAサイクルを回します。
なお、BtoB企業経営者調査によると、生成AIを活用したコンテンツ作成が27.1%で進行中とのことです。効率化のツールとして生成AIを活用しつつも、戦略との整合性や品質管理は人間が担う体制が求められます。
まとめ:戦略を固定し営業フェーズ別に活用する仕組みを構築する
セールスコンテンツを商談成功につなげるためのポイントを整理します。
- コンテンツを作る前に、ターゲット・USPを固定し戦略を明確にする
- 営業フェーズごとに適切なコンテンツを使い分けるマトリクスを設計する
- 量産ではなく、戦略との一貫性を重視した品質管理を行う
- 営業現場からのフィードバックを収集し、継続的に改善する
- 効果測定の仕組みを整備し、PDCAサイクルを回す
次のアクションとして、まずは本記事のチェックリストで現状の戦略設計を確認し、営業フェーズ別のコンテンツマトリクスを自社に合わせて設計してみてください。
セールスコンテンツを商談成功につなげるには、コンテンツを作成する前に戦略(ターゲット・USP)を固定し、営業フェーズごとに適切なコンテンツを使い分ける仕組みを構築することが重要です。
