BtoBマーケティングのCRM活用|選定から運用設計まで解説

著者: B2Bコンテンツマーケティング実践ガイド編集部公開日: 2026/1/812分で読めます

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CRMを導入しても「使われない」「成果が出ない」原因とは

CRM導入を検討しているBtoB企業にとって、「導入後に活用されなくなるのではないか」という懸念は大きいのではないでしょうか。実はBtoBマーケティングでCRMを成果につなげるには、ツール選定だけでなく、導入前の目的設計と導入後の運用ルール策定が重要です。

CRM(Customer Relationship Management) とは、顧客との関係を管理・最適化するシステムです。顧客情報・商談履歴・活動履歴を一元管理し、営業活動の効率化と顧客満足度向上を図ります。

日本企業のCRM導入率は37.2%(2024年度)で、2023年度の36.2%から微増傾向にあります。しかし、受注金額まで含めて投資対効果を計測できているBtoB企業は30.2%にとどまるというデータもあり、CRMを導入しても成果につなげられていない企業が多いのが現状です。

よくある失敗パターンは、CRMを導入すれば顧客管理が自動的に改善されると考え、運用設計を後回しにするケースです。その結果、データが入力されず「使われないCRM」になってしまいます。CRMはあくまでツールであり、導入前の目的設計と導入後の運用ルール策定があって初めて成果につながります。

この記事で分かること

  • CRMの基本的な役割とBtoB企業に必要な理由
  • CRMとMAツールの違いと連携のポイント
  • BtoB企業向けCRM選定のチェックリスト
  • 導入後に「使われないCRM」を防ぐ運用設計の考え方

BtoB企業にCRMが必要な理由と導入メリット

BtoB企業にCRMが必要な理由は、長い商談サイクル、複数の意思決定者、既存顧客の深耕といったBtoB特有のビジネス構造にあります。これらを効果的に管理するには、顧客情報の一元管理と可視化が不可欠です。

国内CRM市場規模は2023年に2,497億8,600万円(前年比13.4%増)に達し、2025年には2,800億円超に拡大すると予測されています。また、ERP/CRM/SFAのクラウド基盤導入率は32.1%(2022年)で、2020年の16.1%から2年で約2倍に増加しており、DX投資の中核領域として注目されています。

LTV(Life Time Value) とは、顧客生涯価値のことで、1人の顧客が取引期間全体で企業にもたらす総利益を指します。BtoBでは新規顧客獲得コストが高いため、既存顧客の深耕によるLTV最大化が重要視されます。CRMは、この顧客との長期的な関係構築を支援する基盤となります。

顧客情報の一元管理による営業効率化

顧客情報の一元管理は、CRMの最も基本的かつ重要な機能です。施策の投資対効果計測の70%以上がExcel等の表計算ソフトを利用しているという調査結果があり、多くの企業がスプレッドシートでの顧客管理に依存している現状があります。

Excelでの管理には、以下のような課題があります。

  • 複数の営業担当者間での情報共有が困難
  • データの重複や不整合が発生しやすい
  • 商談履歴や活動履歴の追跡が煩雑
  • リアルタイムでの状況把握ができない

CRMを導入することで、これらの課題を解決し、営業チーム全体で顧客情報を共有できる体制を構築できます。

商談化率・受注率の可視化と改善

CRMの重要なメリットの一つが、商談化率や受注率を可視化し、改善につなげられる点です。データを蓄積し分析することで、ボトルネックの特定や改善施策の立案が可能になります。

商談化率とは、獲得したリード(見込み顧客)のうち、商談(アポイント・打合せ)に進んだ割合です。BtoB企業の商談化率の一般的な目安は20〜30%、受注率も20〜30%とされています。ただし、この数値は業種・企業規模・リードソースにより大きく変動するため、自社の数値を把握し、継続的にモニタリングすることが重要です。

CRMを活用することで、以下のような分析が可能になります。

  • リードソース別の商談化率・受注率
  • 営業担当者別のパフォーマンス
  • 商談フェーズごとの離脱率
  • 受注までのリードタイム

CRMとMAツールの役割の違い・連携のポイント

CRMとMAツールは混同されがちですが、役割が異なります。CRMは顧客との関係全体を管理するシステムであり、MAは見込み顧客の獲得・育成を自動化するツールです。BtoBマーケティングで成果を出すには、これらを連携させて一気通貫で運用することが重要です。

MA(Marketing Automation) とは、見込み顧客の獲得・育成を自動化するツールです。メール配信・スコアリング・リードナーチャリングなどの機能を持ちます。

SFA(Sales Force Automation) とは、営業活動を自動化・効率化するシステムです。商談管理・案件進捗・売上予測などの機能を持ち、CRMと連携して使われることが多いです。

上場企業のMA導入率は14.6%(3,850社中562社)、全企業では1.5%(626,003社中9,444社)という調査結果があります。CRMに比べてMA導入率はまだ低い状況ですが、両者を連携させることで大きな効果が期待できます。

【比較表】CRMとMAツールの役割比較表

項目 CRM MA SFA
主な目的 顧客関係の管理・最適化 見込み顧客の獲得・育成 営業活動の効率化
主な対象 既存顧客・商談中顧客 見込み顧客(リード) 商談中の案件
主な機能 顧客情報管理、活動履歴、問い合わせ管理 メール配信、スコアリング、リードナーチャリング 商談管理、案件進捗、売上予測
データの起点 商談化以降の顧客接点 Webサイト訪問、フォーム送信 営業活動・商談情報
主な利用部門 営業、カスタマーサクセス マーケティング 営業
連携の効果 MA・SFAと連携し顧客情報を統合 CRM・SFAにリード情報を連携 CRM・MAと連携し商談を管理

MA・SFAとの連携による一気通貫管理

マーケティングから営業、カスタマーサクセスまでの一連のプロセスを連携させることが、BtoBマーケティングの競争力の源泉になります。MA→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセスという流れでデータが一気通貫で管理されることで、顧客体験の向上と業務効率化を同時に実現できます。

データ連携がないと、以下のような問題が発生します。

  • マーケティング部門が獲得したリード情報が営業に正しく引き継がれない
  • 営業が商談中の顧客にマーケティングから重複したアプローチがされる
  • 受注後の顧客情報がカスタマーサクセスに共有されず、フォローが遅れる

これらの課題を防ぐためには、CRM・MA・SFAのデータ連携設計を導入前に検討することが重要です。

CRM選定で確認すべきポイント

CRM選定において最も重要なのは、「高機能なCRMを選ぶこと」ではなく、「自社の営業プロセス・KPIに合致しているか」を確認することです。機能の豊富さよりも、自社の課題を解決できるかどうかを軸に選定しましょう。

以下のチェックリストを参考に、自社に合ったCRMを選定してください。

【チェックリスト】BtoB向けCRM選定チェックリスト

  • 導入目的が明確に言語化されている
  • 達成したいKPIが具体的に設定されている
  • 自社の営業プロセスに合った機能があるか確認した
  • 必要なデータ項目(顧客属性・商談履歴・活動履歴等)が管理できる
  • MAツールとのデータ連携が可能か確認した
  • 基幹系システムとの連携可否を確認した
  • API連携や外部サービス連携の拡張性を確認した
  • 将来的なユーザー数増加に対応できるか確認した
  • セキュリティ要件(ISO27001、SOC2等)を満たしているか確認した
  • 自社のセキュリティポリシーに適合しているか確認した
  • 初期費用・月額費用・オプション費用の総コストを算出した
  • 導入後のサポート体制(日本語対応・レスポンス時間等)を確認した
  • 無料トライアルで実際の操作感を確認した
  • 営業現場の担当者にも操作性を確認してもらった
  • 導入事例で同業種・同規模の企業の活用例を確認した

導入目的・KPIの明確化

「高機能なCRMを選べば良い」という考え方は誤りです。CRM選定の前に、まず自社の導入目的とKPIを明確化することが不可欠です。

導入目的の例としては、以下のようなものがあります。

  • 顧客情報の一元管理による営業効率化
  • 商談化率・受注率の可視化と改善
  • 既存顧客のLTV最大化
  • マーケティングと営業の連携強化

目的が明確になれば、それを実現するために必要な機能要件が逆算できます。過剰な機能は使いこなせず、導入コストだけが増える原因になります。

既存システムとの連携・拡張性

CRM単体での導入ではなく、既存のMAツールや基幹系システムとの連携を前提に選定することが重要です。

確認すべきポイントは以下の通りです。

  • MAツールとのデータ連携(リード情報・行動履歴等)
  • 基幹系システムとの連携(受注データ・請求データ等)
  • API連携の柔軟性
  • 今後の事業拡大に対応できる拡張性

中小〜中堅企業向けには、ノーコードで画面・項目・ワークフローをカスタマイズできるCRMの需要が増加しています。IT部門のリソースが限られる企業では、カスタマイズの容易さも選定基準に加えることをお勧めします。

CRM導入後に「使われない」を防ぐ運用設計

CRM導入の成否を分けるのは、導入後の運用設計です。どれほど優れたCRMを選定しても、運用設計が不十分であればデータが入力されず、「使われないCRM」になってしまいます。

運用設計で特に重要なのは、以下の2点です。

  • データ入力ルールの策定と定着施策
  • 商談化・受注につなげるフォロー設計

ウェビナーの即日フォローで商談化率が大幅に向上する傾向があるという海外の調査データがあります(ただし、これはグローバルデータであり、日本市場での検証は限定的です)。このように、フォローのスピードと質が成果に直結するため、CRMを活用したフォロー設計が重要になります。

データ入力ルールの策定と定着施策

CRMが活用されなくなる最大の原因は、データが入力されないことです。営業現場の負担を最小限に抑えつつ、必要なデータを確実に収集するルール設計が必要です。

効果的なルール設計のポイントは以下の通りです。

  • 必須入力項目を厳選し、入力負荷を軽減する
  • 選択式の入力を活用し、自由記述を減らす
  • モバイル対応で外出先からも入力できるようにする
  • 営業現場が「入力するメリット」を実感できる仕組みを作る

営業担当者にとって「入力しても何の役にも立たない」と感じられるCRMは、すぐに使われなくなります。入力したデータが自分の営業活動に役立つこと(例:過去の商談履歴の参照、フォロー漏れの防止等)を実感できる設計が重要です。

商談化・受注につなげるフォロー設計

CRMにデータを蓄積するだけでは成果は出ません。蓄積したデータを商談化率・受注率の改善につなげるフォロー設計が必要です。

具体的な施策例は以下の通りです。

  • スコアリングによるリードの優先順位付け
  • フォロー速度のSLA設定(例:24時間以内の初回アプローチ)
  • フォロー遅延・未フォローのリードをダッシュボードで可視化
  • 放置リードのアラート通知

これらの仕組みをCRMに組み込むことで、「データを入力して終わり」ではなく、「データを活用して成果を出す」サイクルを回すことができます。

まとめ:CRM活用で成果を出すための要点

本記事では、BtoBマーケティングにおけるCRMの役割と、導入・運用のポイントを解説しました。

記事の要点を整理します。

  • CRMはBtoB特有の長い商談サイクル、複数意思決定者への対応、既存顧客深耕に不可欠
  • CRMとMAツールは役割が異なり、連携させることで一気通貫の顧客管理が可能になる
  • CRM選定は「高機能」ではなく「自社の営業プロセス・KPIへの適合」を基準にする
  • 導入後の運用設計(データ入力ルール・フォロー設計)が成否を分ける

CRM導入を検討している方は、まず自社の導入目的とKPIを整理し、本記事で紹介したチェックリストを活用して選定観点を確認することをお勧めします。

BtoBマーケティングでCRMを成果につなげるには、ツール選定だけでなく、導入前の目的設計と導入後の運用ルール策定が重要です。CRMを「ツール導入」ではなく「マーケティング成果を出すための仕組み」として捉え、計画的に導入・運用を進めてください。

「記事は出してるのに商談につながらない」を解決する。
御社を理解して書くから、刺さる。この記事はMediaSprintで作成しました。

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よくある質問

Q1日本企業のCRM導入率はどのくらいですか?

A12024年度の調査によると、日本企業のCRM導入率は37.2%です。ただし、調査主体・調査設計により数値は異なり、別の調査では9.1%という結果もあります。引用時は調査元を確認することが重要です。

Q2CRMとSFA、MAの違いは何ですか?

A2CRMは顧客との関係全体を管理するシステム、SFAは営業活動の自動化・効率化に特化したシステム、MAは見込み顧客の獲得・育成を自動化するツールです。BtoBマーケティングでは、これらを連携させて一気通貫で顧客管理することで効果を最大化できます。

Q3CRM導入の費用相場はどのくらいですか?

A3CRMの費用はユーザー数・オプション・契約年数で大きく変動するため、一概には言えません。中小〜中堅向けは1ユーザーあたり月数千円クラスが多く、大企業向けは月額数十万円〜数百万円規模になることもあります。必ず複数ベンダーから見積もりを取ることをお勧めします。

Q4CRMを導入すれば売上は上がりますか?

A4CRMを導入するだけでは売上は上がりません。受注金額まで含めて投資対効果を計測できているBtoB企業は30.2%にとどまるというデータもあり、導入前の目的設計と導入後の運用ルール策定が成果を出すための鍵になります。

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B2Bコンテンツマーケティング実践ガイド編集部

「PVではなく商談につながる」をテーマに、BtoB企業のマーケ担当者へ実践ノウハウを発信。デシセンス株式会社が運営。