インサイドセールスでコンテンツが成果を左右する理由
インサイドセールスとは、電話・メール・Web会議などの非対面手段で顧客開拓・育成を行う営業手法です。このインサイドセールスで成果を出すために最も重要なのは、顧客の検討段階に合わせてコンテンツを戦略的に配置し、商談化率向上につなげる設計です。
コンテンツを作っても商談につながらない、リードは取れるがコールドリードばかりという課題を抱えている担当者は少なくありません。実際、インサイドセールスのナーチャリング課題として「コンテンツ不足」が40%以上で最多となっており、成果計測の困難さや人手不足も主要な課題として挙げられています(ただし、この調査は自己申告ベースのため主観が含まれる点に注意が必要です)。
一方で、87%のマーケターがコンテンツマーケティングはリード生成に有効と回答しており、2023年から11ポイント増加しています(グローバル調査のため、日本市場とは乖離がある可能性があります)。つまり、コンテンツ活用は効果があるものの、その活用方法に課題を抱えている企業が多いのが現状です。
この記事で分かること
- インサイドセールスで活用すべきコンテンツの種類と役割
- 顧客の検討段階別にコンテンツを配置する戦略
- 商談化率を高めるための成果計測と改善方法
- コンテンツ準備の実践的なチェックポイント
インサイドセールスで活用するコンテンツの種類と役割
リードナーチャリングとは、見込み顧客(リード)を育成し、購買意欲を高めて商談につなげるマーケティング活動です。このナーチャリングで活用されるコンテンツには、いくつかの定番があります。
インサイドセールスのナーチャリングでは、セミナー・ウェビナー案内、全体向けメルマガ、ホワイトペーパー、サービス活用事例が45%以上の企業で実施されています。これらが基本セットとして位置づけられていると言えるでしょう。
また、BtoBコンテンツでパフォーマンスが高い形式は、1位が動画、2位が導入事例、3位がホワイトペーパー(eBook)という調査結果もあります。
パフォーマンスの高いコンテンツ形式
パフォーマンスが高いとされる3つの形式には、それぞれ異なる特徴と活用シーンがあります。
動画コンテンツは、製品デモや使い方の説明、顧客インタビューなどに適しています。テキストや画像だけでは伝わりにくい情報を視覚的に伝えられるため、理解促進の効果が高いとされています。
導入事例は、検討段階の顧客に対して具体的な成果イメージを持ってもらうのに効果的です。同業種・同規模の企業の事例は特に関心を集めやすい傾向があります。
ホワイトペーパーとは、自社の専門知識や調査結果をまとめた資料で、リード獲得・ナーチャリングに活用されます。ダウンロードと引き換えに連絡先を取得できるため、リード獲得の入口として広く使われています。
顧客の検討段階別コンテンツ活用戦略
カスタマージャーニーとは、顧客が認知から購入・利用に至るまでの行動・心理の流れを可視化したものです。コンテンツを効果的に活用するためには、このカスタマージャーニーに沿って適切なコンテンツを配置することが重要です。
マーケティング担当者の53%がウェビナーはトップ・オブ・ザ・ファネル(認知・興味段階)で最も適格なリードを生むと回答しています。このように、コンテンツごとに効果を発揮しやすい段階があります。
【比較表】顧客検討段階別コンテンツ活用マップ
| 検討段階 | 顧客の状態 | 適したコンテンツ | 目的 |
|---|---|---|---|
| 認知 | 課題に気づき始めた | ブログ記事、業界レポート | 興味喚起・情報提供 |
| 興味 | 解決策を探し始めた | ウェビナー、メルマガ | リード獲得・関係構築 |
| 検討 | 具体的な解決策を比較 | ホワイトペーパー、比較資料 | 理解促進・課題の明確化 |
| 比較 | 導入先を絞り込み中 | 導入事例、製品デモ動画 | 具体的な成果イメージの提供 |
| 決定 | 最終判断の段階 | 見積もり、導入支援資料 | 不安解消・意思決定の後押し |
認知・興味段階のコンテンツ
認知・興味段階では、リード獲得よりも興味喚起が主な目的です。マーケティング担当者の53%がウェビナーはトップ・オブ・ザ・ファネルで最も適格なリードを生むと回答しているように、ウェビナーは認知段階での接点づくりに効果的です。
この段階では、自社製品の売り込みよりも、業界の課題や解決策に関する有益な情報提供を優先することが重要です。ブログ記事やメルマガで継続的に接点を持ち、徐々に関係を構築していきます。
検討・比較段階のコンテンツ
検討・比較段階では、具体的な導入イメージを持ってもらうことが目的です。BtoBコンテンツでパフォーマンスが高い形式として挙げられる導入事例やホワイトペーパーは、この段階で特に効果を発揮します。
導入事例では、顧客が抱える課題、採用した解決策、得られた成果を具体的に示すことで、検討中の企業が自社に当てはめて考えやすくなります。同業種や同規模の企業の事例は特に参考にされやすい傾向があります。
商談化率を高めるコンテンツ活用のポイント
コンテンツを商談につなげるためには、単にコンテンツを揃えるだけでは不十分です。よくある失敗パターンとして、コンテンツを作ることが目的化し、顧客の検討段階や課題を考慮せずに大量のコンテンツを用意してしまうケースがあります。その結果、リードは取れてもコールドリードばかりで商談につながらないという状況に陥りがちです。
インサイドセールスのリード追客回数は平均5.1回/リード、架電件数は平均34件/日(過去最高を更新)という調査結果があります。このように粘り強いフォローアップが行われている一方で、コンテンツを起点にしたナーチャリングがうまく機能していない企業も多いのが現状です。
成果を出すためには、顧客の検討段階を見極め、適切なタイミングで適切なコンテンツを提供する設計が必要です。
コンテンツ活用の成果計測方法
CVR(コンバージョン率) とは、Webサイト訪問者のうち、目標アクション(資料DL、問い合わせ等)を完了した割合です。コンテンツ活用の成果を把握するためには、このCVRをはじめとした指標の計測が欠かせません。
しかし、ダウンロード資料のCVR・クリック率を分析している企業は25%以下にとどまり、成果計測が課題となっています。まずは以下のような基本的な指標から計測を始めることをおすすめします。
- ダウンロード数(どのコンテンツが関心を集めているか)
- ダウンロード後の商談化率(コンテンツが商談につながっているか)
- メールの開封率・クリック率(配信コンテンツへの反応)
計測データをもとに、効果の高いコンテンツの特徴を分析し、次のコンテンツ制作に活かす改善サイクルを回すことが重要です。
インサイドセールス用コンテンツの準備と運用
コンテンツの準備では、いきなり大量に作ろうとせず、優先順位をつけて段階的に整備していくことが効果的です。前述の通り、セミナー・ウェビナー案内、全体向けメルマガ、ホワイトペーパー、サービス活用事例の4種類が45%以上の企業で実施されており、これらを基本セットとして優先的に整備するとよいでしょう。
コンテンツ不足が40%以上で最多課題となっている現状を踏まえると、まずは各検討段階に最低1つずつコンテンツを用意し、徐々に拡充していく進め方が現実的です。
【チェックリスト】インサイドセールス用コンテンツ準備チェックリスト
- 自社の顧客検討段階(認知→興味→検討→比較→決定)を定義している
- 各検討段階に対応するコンテンツの有無を棚卸ししている
- 認知・興味段階向けのブログ記事またはメルマガがある
- ウェビナー・セミナーの案内コンテンツがある
- リード獲得用のホワイトペーパーがある
- 検討段階向けの比較資料または製品資料がある
- 導入事例が最低1件以上ある
- 製品デモ動画または説明動画がある
- ダウンロード数を計測する仕組みがある
- コンテンツ別の商談化率を追跡できる
- コンテンツの更新・改善サイクルが決まっている
- マーケティング部門との連携フローが明確になっている
マーケティング部門との連携ポイント
インサイドセールスのコンテンツ活用では、マーケティング部門との連携が欠かせません。一般的には、コンテンツの企画・制作はマーケティング部門が主導し、活用・フィードバックはインサイドセールスが主導するという役割分担が多くみられます。
連携をスムーズにするためには、以下のような情報共有の仕組みを整えることが重要です。
- どのコンテンツがダウンロードされているか(定量データ)
- 顧客からどんな質問・反応があったか(定性フィードバック)
- どの段階のコンテンツが不足しているか(コンテンツギャップ)
マーケティング部門は全体のリード獲得を、インサイドセールスは商談化を担うため、両者が情報を共有し、顧客視点でコンテンツを改善していく体制が成果につながります。
まとめ:戦略的なコンテンツ活用で商談化率を向上させる
本記事では、インサイドセールスにおけるコンテンツ活用の方法と、商談化率を高めるためのポイントを解説しました。
記事の要点
- インサイドセールスのナーチャリング課題として「コンテンツ不足」が40%以上で最多
- 基本セットはセミナー案内、メルマガ、ホワイトペーパー、活用事例の4種類
- BtoBで高パフォーマンスな形式は動画、導入事例、ホワイトペーパー
- 顧客の検討段階に合わせてコンテンツを配置することが重要
- 成果計測は25%以下の企業しか実施しておらず、まず基本指標から始める
インサイドセールスでコンテンツを活用するには、単にコンテンツの種類を増やすのではなく、顧客の検討段階に合わせてコンテンツを戦略的に配置し、商談化率向上につなげる設計が重要です。
まずは本記事で紹介した「顧客検討段階別コンテンツ活用マップ」を参考に自社の顧客検討段階を整理し、「コンテンツ準備チェックリスト」で現状の過不足を確認することから始めてみてください。不足しているコンテンツを優先順位をつけて整備し、成果計測と改善のサイクルを回すことで、商談化率の向上につなげることができます。
