外注管理で工数が増え続ける課題
多くの人が見落としがちですが、外注管理の工数を削減するには、ECRSの4原則で作業を見直すだけでなく、戦略(誰に・何を・なぜ)を仕組み化して外注先に共有し、品質チェック・承認フローを標準化することで「やり直し工数」を根本から減らすことが重要です。
外注管理に時間がかかりすぎる、成果物の品質チェックや修正依頼で工数が膨らむ、承認フローで止まる—こうした課題を抱えるBtoB企業のマーケティング担当者やプロジェクト管理者は少なくありません。
中小企業白書2025年版では「人手不足は引き続き中小企業の最重要課題の一つ」と位置付けられています。また、経済産業省「DXレポート」で指摘された「2025年の崖」により、レガシーシステム・IT人材不足・外注費高騰への対応として業務効率化・工数削減が不可欠とされています。人手不足の中で外注に頼らざるを得ない状況が続く一方、外注管理の工数が新たなボトルネックになっているのです。
この記事で分かること
- 外注管理の定義と工数が発生するプロセスの理解
- ECRSの4原則を外注管理に適用する具体的な方法
- ツール導入だけでは工数が減らない理由と解決策
- 外注管理工数削減のための実践チェックリスト
外注管理とは何か|工数が発生するプロセスを理解する
外注管理の工数を削減するには、まず工数がどこで発生しているかを可視化することが第一歩です。プロセスを理解することで、改善すべきポイントが明確になります。
外注管理とは、自社で担いにくい業務を外部パートナーに委託し、品質・コスト・納期リスクをコントロールするマネジメント活動です。JUAS「企業IT動向調査2025」によると、IT部門における開発・運用を外部委託中心にしている企業の比率が示されており、外注依存度の高さが見て取れます。
ECRS(イクルス)の4原則とは、Eliminate(排除)、Combine(統合)、Rearrange(再順序化)、Simplify(簡素化)から構成される工数削減フレームワークです。製造業から始まった考え方ですが、外注管理にも応用できます。
工数可視化とは、プロセスごとの作業時間を見える化し、ボトルネック特定・フロー改善につなげる手法です。
外注管理で発生する主な工数は以下の通りです。
- 依頼作成・発注書作成
- 外注先とのコミュニケーション(質疑応答、進捗確認)
- 成果物の品質チェック・レビュー
- 修正依頼・フィードバック
- 承認フロー・最終確認
工数が増える原因は「やり直し」にある
外注管理で工数が増える最大の原因は「やり直し」です。戦略(誰に・何を・なぜ)が不明確なまま外注すると、成果物が要件と合わず修正依頼が繰り返されます。
例えば、コンテンツ制作を外注する場合、ターゲット読者や訴求ポイントが曖昧なまま依頼すると、納品された記事が意図と異なり、修正依頼を繰り返すことになります。1回の修正に数日かかれば、その分だけ管理工数が積み上がっていきます。
工数可視化を行うと、このような「やり直し」がどの程度発生しているかが明らかになります。ボトルネックを特定することで、改善の優先順位を決められます。
ECRSの4原則で外注管理工数を削減する
ECRSの4原則は、外注管理の工数削減に効果的なフレームワークです。E(排除)→ C(統合)→ R(再順序化)→ S(簡素化)の順で検討することで、体系的に改善を進められます。
「影響の小さい部分から着手」することで組織の理解と協力を得やすいとされています。いきなり大きな変革を目指すのではなく、小さな改善から始めることが成功のポイントです。
【比較表】ECRSの4原則×外注管理適用例一覧表
| 原則 | 意味 | 外注管理での適用例 | 期待効果 |
|---|---|---|---|
| E(Eliminate/排除) | 不要な作業をなくす | 形骸化した承認ステップの廃止、過剰な進捗報告の削減 | 承認待ち時間の短縮 |
| C(Combine/統合) | 複数の作業をまとめる | 品質チェックとフィードバックを1回で実施、複数担当者のレビューを統合 | 確認回数の削減 |
| R(Rearrange/再順序化) | 作業順序を見直す | 戦略共有を依頼前に実施、品質基準を先に明示 | やり直し発生の予防 |
| S(Simplify/簡素化) | 作業を簡単にする | 依頼テンプレートの標準化、チェックリストの整備 | 依頼・確認作業の効率化 |
まず「E(排除)」から検討します。形骸化した承認ステップや、誰も見ていない報告書がないか確認しましょう。次に「C(統合)」で、複数回に分かれているレビューを1回にまとめられないか検討します。「R(再順序化)」では、問題が発生してから対処するのではなく、事前に予防する順序に変えられないか考えます。最後に「S(簡素化)」で、テンプレートやチェックリストを整備し、毎回ゼロから考える負担を減らします。
ツール導入だけでは工数は減らない理由
よくある失敗パターンとして、外注管理の工数削減を「ツール導入」や「手順の簡略化」だけで解決しようとするケースがあります。 戦略が不明確なまま外注すると、成果物が要件と合わず修正依頼が繰り返され、結果として管理工数が増え続けます。
ある工数管理ツールの導入事例では、プロジェクトの期間内完遂度38%向上、タスク時間34%削減が報告されています(ただし、これは個別企業の事例であり、再現性を保証するものではありません)。この成果はツールを入れただけで得られたのではなく、業務フローの見直しと標準化が前提となっています。
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング) とは、経理・人事・情シス・問い合わせ窓口などのバックオフィス業務を外部委託する形態です。BPOでも同様に、単に外部に投げるだけでなく、業務プロセスの整理と標準化が成功の鍵となります。
ツール導入が失敗する典型的なパターンは以下の通りです。
- 現状の業務フローを見直さずにツールを導入する
- 戦略(誰に・何を・なぜ)が曖昧なまま外注を続ける
- ツールに任せれば自動で効率化すると期待する
- 承認フローや品質基準を標準化しない
戦略を仕組み化して外注先と共有する
外注管理の工数を根本から削減するには、戦略を仕組み化して外注先と共有することが重要です。「業務標準化・マニュアル整備」が属人化解消と品質・生産性両立の鍵となります。
戦略の仕組み化で含めるべき要素は以下の通りです。
- ターゲット情報: 誰に向けた成果物か(業種、役職、課題など)
- 訴求ポイント: 何を伝えたいか(自社の強み、差別化ポイント)
- 目的・背景: なぜこの依頼が必要か(ビジネス上の目的)
- 品質基準: どのレベルを合格とするか(チェック項目)
- 承認フロー: 誰がどのタイミングで確認するか
これらを文書化して外注先と共有することで、「要件が伝わらない」「意図と違う成果物が上がってくる」といったやり直しの原因を減らせます。
外注管理の工数削減を実現するチェックリスト
外注管理の工数削減を具体的に進めるためのチェックリストを提供します。まずは現状把握から始め、優先度の高い項目から改善を進めてください。
経理業務のアウトソーシング導入事例では、3人体制から1名体制での運用が可能になり、工数40〜50%削減を実現した例があります(ただし、これは個別企業の事例であり、業界平均や再現性を保証するものではありません)。
2025年の崖とは、経済産業省が指摘した、レガシーシステムの老朽化とIT人材退職により企業競争力低下が懸念される課題です。この課題への対応としても、外注管理の効率化は重要なテーマとなっています。
【チェックリスト】外注管理工数削減のためのチェックリスト
- 外注管理の現状工数を可視化している
- 工数が増えているボトルネックを特定している
- 「やり直し」が発生している原因を把握している
- 戦略(誰に・何を・なぜ)を文書化している
- 戦略情報を外注先と共有する仕組みがある
- 品質基準を明文化している
- 品質チェックの項目をリスト化している
- 承認フローを整理し、不要なステップを排除している
- 依頼テンプレートを標準化している
- フィードバックの方法を統一している
- 外注先とのコミュニケーションルールを決めている
- 進捗確認の頻度と方法を最適化している
- レビューを複数回に分けず、統合できる箇所を検討している
- 形骸化した報告・承認ステップを廃止している
- 改善効果を測定する指標を設定している
- 定期的に外注管理プロセスを見直す機会を設けている
まずは上から順に確認し、チェックが入らない項目から改善を始めてください。すべてを一度に改善する必要はありません。影響の小さい部分から着手することで、組織の理解と協力を得やすくなります。
まとめ:やり直しを減らす仕組みで工数を削減する
本記事では、外注管理の工数削減方法について解説しました。
要点の整理
- 外注管理で工数が増える最大の原因は「やり直し」である
- ECRSの4原則(排除・統合・再順序化・簡素化)で体系的に改善を進める
- ツール導入だけでは工数は減らない。業務フローの見直しと標準化が前提
- 戦略(誰に・何を・なぜ)を仕組み化して外注先と共有することで、やり直しを予防できる
- チェックリストを活用し、影響の小さい部分から着手する
外注管理の工数を削減するには、ECRSの4原則で作業を見直すだけでなく、戦略(誰に・何を・なぜ)を仕組み化して外注先に共有し、品質チェック・承認フローを標準化することで「やり直し工数」を根本から減らすことが重要です。
まずは本記事のチェックリストを使って現状を把握し、改善の優先順位を決めることから始めてみてください。
